うんちくなどと、だいそれたものではなく,作者の独り言と思って,試てみて下さい。
質問なんかも大歓迎です。「わかる範囲で」などと言わず,必ずしらべて掲載しますのでどしどし メール下さい。
ご意見、ご質問はこちらから

    

日本酒の分類?

日本酒には幾つかの分類があります。原材料によるもの、製造法によるもの、精米歩合(玄米の表面を削る割合 1Kgの玄米を削って400gを糠として落とし、600gになった精米が    精米歩合 60% と表示される)によるもので 大まかに、次の4つの分類されます。
吟醸酒 精米歩合60%以上の米、米麹、と醸造用アルコールを使用し、吟醸用の麹菌、酵母を用い、全醸造工程を低温で行う(吟醸造り)で造られた清酒
純米酒 米、米麹、水だけを原料とし、アルコールなどの他一切の添加を許さない元来の清酒
本醸造酒 米、米麹、醸造用アルコールを原料とし、醸造用糖類の添加を許さない清酒   また、原料白米1トンあたり、120リットル以下のアルコール添加といった、添加量を制限した清酒
普通酒 米、米麹、水、醸造用アルコール、醸造用糖類の使用が許された清酒で これ以外の添加されたものは、合成酒や雑酒となる。
また、精米歩合によって以下の分類になります。
純米吟醸酒 純米酒の原料(米、米麹、水)だけを使用し、合わせて精米歩合も吟醸酒の60%以上の米を使用し、吟醸造りをした清酒
大吟醸酒 吟醸酒でありながら、精米歩合を50%以上の米を用い
吟醸造りをした清酒
純米大吟醸酒 純米酒の原料(米、米麹、水)だけを使用し、合わせて精米歩合も大吟醸酒の50%以上の米を用い 吟醸造りをした清酒
特別本醸造 本醸造でありながら、精米歩合60%以上の米を使用した清酒
上記の分類で、精米歩合によるものが多くありますが、この精米技術の進化が清酒の進化であるといっても過言ではありません。戦前、戦中の頃の精米機の性能は20〜30%が限界であったようです。味覚的には雑味が残り、香りに大きく影響します。その当時は吟醸酒など想像もできなかったのではないでしょうか?

 

本醸造のアルコール添加?

本醸造とは、原料白米1トン当たり、120リットル以下のアルコール添加が許された清酒のことです。 ところで、料白米1トンでどの位の清酒ができて、120リットルのアルコールとは商品のアルコール度数の何パーセントを占めるのでしょうか?
120リットルの醸造用アルコールは、商品のアルコール度数の最大25%といわれています。すなわち 商品のアルコール度数が16度だとすれば、最大4度分が醸造用アルコールとゆうことになります。

並行複醗酵?

  日本酒の主原料は、米、米麹、水、この3つのみで造られた清酒を 「純米酒」と呼び、アルコールを添加したものを「本醸造酒」「普通酒」 と区分けし、醸造方の違いや精米歩合で吟醸酒などの区分がある。   米はデンプン質であるがゆえ、そのままの状態では醗酵しない。このデンプンを 米麹(麹菌)が糖に変える(糖化、α化)     この糖分を酵母菌がアルコールに変え る(醗酵)   この2つの作業を、それぞれの分担で並行して行うことから、並行複醗 酵と区分されています。ちなみにワインなどは、単醗酵、ビールは単行複醗酵 と区分されています。

 

成分表?

  清酒の裏ラベルや、ラベルの隅に アルコール度数、日本酒度、酸度、アミノ酸、精米歩合、原料米、使用酵母などの数値を見たことがありませか?   あくまでも商品の目安として使われるもので、このデータが酒の全てではありません。(バランスが重要ともいわれています)
アルコール度数 清酒の全体のアルコールの割合(単位:度)
日本酒度 清酒の糖分の割合(比重計で測定)      プラスの数値が高いほど辛口 マイナスの数値が高いほど 甘口
酸度、アミノ酸 清酒の成分中の酸性度を                               中性になるまでアルカリ性の試薬を加えた時の、試薬の量                 (単位:CC)
精米歩合 掛米、麹米の表面(ぬか)を削った後の残量     (パーセント)
原料米 秋田では主に、美山錦、トヨ錦、吟の精、山田錦、亀の尾どが使用されている。
使用酵母 全国の蔵で自生した酵母、オリジナルの物もあるが、協会に指定                               された協会9号(熊本)、協会6号(秋田)、協会17号(秋田)など                              酒の個性としてさまざま使用されている。

 

清酒の甘辛?

   前記のように含有糖分の度合いは日本酒度でわかるようにみえて、酸度の割合で、甘くも辛くも感じることがある
   辛口酒のおもしろい話がある。仙北郡神岡町に「刈 穂」とゆう造り酒屋がある。ここには、もろみを清酒と酒粕にわける、いわゆる上層、搾りを行う機械(舟)が6機あるが、ころあいのもろみを上層にかけたかったが、搾り機が 全部使用中で、順番待ちをしていた、しかし醗酵はどんどん進む訳で、気がついた時には日本酒度が+20度(超辛口)にも達していたという。しかし、これを商品化したところ、大変好評で、番外編として限定出荷されている。

   甘口の酒を造ろうとすれば、米麹の量を増やし、酵母が醗酵しきれない程もろみ中に糖分を残してやれば甘口になるのかな?

 

山間部の米は旨い?

   「山間部の米は旨い」といわれる由縁は、農業用水は当然河から引かれてくるわけで、土中の養分をたくさん含んだ用水は河上ほど濃厚であるが故のこと。
しかし、最近の山は、河は健康なのだろうか?原生林を伐採し、育ちの早い針葉樹を植林する。針葉樹は落葉しないから、山肌は保水力を持たない、保水力を持たないから、日照りが続けば河が枯れ、雨が続けば鉄砲水になり洪水につながる、洪水になるからダムや堰きが作られる。ダム、堰は河を遮断するから、生物の繁殖が遮断される。これを悪循環と言わずに何と言う

お流れ頂だい?

  盃のやりとりをすることは、古くから伝えられた日本酒特有の伝統であって、それは主客の間の親愛の情の表現であり、決して野蛮でも、不衛生でもありません。
それでは、目上や、客人から盃を賜るよう請求することを、なぜ「お流れ頂だい」とゆうのでしょうか?   それは、「曲水の宴」からきたのであろうと言われています。曲水の宴は、中国に始まり平安朝時代我が国に伝わってきた殿上人の酒遊びの行事で、水の流れに沿って、人々が座し、自分の前に盃が流れて来るのを取って酒を飲みながら、その間に詩を創るとゆうのですから、誠に風雅な遊びといえますが、この遊びは上流の方に座す人の方が偉い人(上流社会)ですから、自然、下の人にとっては「お流れ頂だい」とゆうことになるーとゆう説です。

 

アルコール醗酵   ?

スーパーなんかの食品売り場に、「ドライイースト」を買い求める。これはパン生地を膨らませるのに使われるのが殆どだと思いますが、砂糖をぬるま湯に溶かしてこの「ドライイースト」を耳かき数杯程混ぜ合わせます。サランラップでふたをして、暖かい所で一晩放置しますと、この砂糖水はうっすら濁り、次第に泡立ちはじめ、耳を近づけるとシャワーのような音がしてきます。2日もそのままにしておくと、泡の発生はおさまり、舐めてみると、元の甘みは消えて、まったく別の味わいの液体に変身しています。これを飲むと「ホロリ」としてくる、すなわち、砂糖がイースト菌によってルコールと炭酸ガスに変化したわけです。パン造りにはこの炭酸ガスが必要で、酒造りにはこのアルコールが必要なわけです。
なにも、密造酒のお勧めをしている訳ではありませんが、酵母菌となるイースト菌が糖分をエネルギーにして、繁殖する、糖分がアルコールと炭酸ガスに変化する様が、アルコール醗酵現象となるわけです。

 

左きき?

  名匠 左甚五郎は「左きき」であったといわれますが、これは利き腕が左であったとゆうことではなく、すなわち飲ん兵衛だったとゆう説もあります。   酒飲みを「左きき」とゆう語源は佐渡の金山から出たもようです。 金鉱地が大繁盛し、遊女屋などが軒を並べた頃、金山ことばといって、鉱山関係のことばをもじった新造語が、ここを中心に流行しました。ノミを持つてが左手で、「ノミ」イコール「飲み」にもじられたとゆう説です

 

酒ばやし

ご年配 の方はご存知だと思いますが、昔は地方の造り酒屋の軒下に杉の葉を束ねて切り揃えたものが下げられていました。それを「酒ばやし」といいまして、造り酒屋であることを示す一種の看板であり、杉の葉がだんだん茶色に変色していく度合いと、新酒の熟成具合を合わせみていたようです。年の暮れあたりに新しい酒ばやしを出す事で新酒ができましたとゆう知らせにもなった訳です。語源としては、色々ありますが、中国では、酒屋の看板のことを、「酒屋望子」(さかやばうし)と言うそうで、それが訛ったとする説。一方 「酒葉」(さかば)から来た説もあります。ちなみに、なぜ杉の葉なのかとゆうと酒神を祭る三輪神社の神杉は、三輪のしるし杉といわれ、これから来ているものとされています。

山廃&生もと&速醸

清酒を造る為の設計図が、いわゆる酵母菌です。この酵母菌が他の雑菌にじゃまされること無く純粋に繁殖することが 重要であり、造り手の技術とも言えます。 大気中にも色々な雑菌が存在するわけですから、酵母菌を入れる前に1回 無菌状態を作る必要があります。人工的に乳酸を加えることで、短時間で無菌状態を作ることを速醸造りといいます。一方、人工的では無く天然の乳酸菌の繁殖を待つ手法を山廃づくりといいます。乳酸菌が他の雑菌を死滅させ、自らも 死滅していく過程で酵母菌の純粋繁殖が進みます。生もと造りは、次に記述される米麹に関係がありますが、米のデンプン質を糖質に変換し安いよう人工的に米をすりおろす 砕いて、糊状にしてあげる工程を意味します。最近では麹菌の改良により、米をつぶさなくても解け安いような工夫が施さ れていますが、商品を特徴づける意味から、機械的にすりおろし装置を使って生もと造りを残そうとしているメーカーも あります。

 

突きはぜ&総はぜ

清酒 を造る為には、「酒母」いわゆるもとを造ることからはじまります。
醸造米を蒸し、麹室に運び 麹菌をふりかけ米麹を造ります。米麹と一言でいっても出来具合によって名称が変わります。
米の表面全体に麹菌が繁殖したものを「総はぜ」といい、更に米の内部まで麹菌が侵入したものを「突きはぜ」と呼びます。
もちろん後記の「突きはぜ」麹がよりベターになるわけです。最近は麹菌の改良も進んで「突きはぜ」になるよに工夫されて いるようです。
麹菌は、米のデンプン質を糖分に変えてやる働きを持ちます。ですから米のでんぷんをできるだけ多く糖質化する為に米の 内部まで浸透する「突きはぜ」ベターだとする理由です。

 

通夜振る舞い

お通夜の席でお酒を振舞うのはなぜでしょう?実はお通夜の席のお酒には厄を払う意味と、故人に対する供養の意味が あると言われています。お酒に弱いとか、嫌いだからといって、断ることは失礼に当たります。口をつけるだけの行為でも しておきましょう。逆にお酒が好きだからといって、飲みすぎることも慎みましょう。故人のの供養に止まらず、批判めいた 発言はその場の雰囲気をこわしてしまいます。
退席する場合は、ご焼香と、合掌を忘れずにしたいものです。

 

山内杜氏

秋田清酒のほとんどは秋田県平鹿郡山内村出身の「山内杜氏」によってつくられているといっても過言ではありません。山内村は、村の九割が山と原野、耕地は約4%で冬は働き場所のない雪深い村であったことから、秋田県内の酒蔵に出稼ぎにいくことが大きな収入源でした。大正時代には三百人前後の出稼ぎ者がいたといわれています。この人々が酒屋若勢と呼ばれ、やがて「山内杜氏」の発祥となりました 「山内杜氏」のほとんどが、米づくり農家の出身で米についての知識も豊富で、酒造りの技術に秀でており、秋田の酒造りにはなくてはならない存在です。酒造業も現代では機械化が進んでおりますが、酒の出来を左右するのはあくまでも「杜氏」の「勘」と「経験」です。秋田県酒造組合では、その名声におぼれることなく新しい技術の研鑽を積むため、各種酒造講習会を実施しており、レベルの向上や後継者の育成を実施しております。

AK−1

秋田県酒造組合と秋田県醸造試験場が、5年の歳月をかけて協同開発した秋田流花酵母(AK-1)は、秋田流寒造りに適し類まれな香りと味の膨らみを醸し出す酵母です。発表以来各種鑑評会で入賞酒を続々輩出しました。その優秀性が認められ平成8年からは日本醸造協会より協会15号酵母として全国に販売されております。これより溯ること51年、昭和10年には秋田市内の新政酒造より分離された酵母が、協会6号として発売され現在に至っています。日本醸造協会からはこの6号を含め13種類(*)の清酒酵母が販売されていますが、そのうちの2つが秋田県から生まれたことを思うと、秋田県の酒造家がいかに熱心に酒造りに係わってきたか伺えようというものです。

秋田県では1990年(平成2年)に県内酒造蔵より収集した959株のサンプルを基に、秋田県醸造試験場と県酒造組合との共同研究により生まれた清酒酵母がAKシリーズ(秋田酵母のイニシャルを付して)の開発技術により以下の新酵母が誕生している。 美酒秋田にふさわしい酒質を醸す大事な役目を持つ酵母群である。
名   称
対 象 酒
酵母の性質
酒   質
AK−1 秋田流・花酵母

高度精白酒用

大吟醸酒、 純米大吟醸酒

低温(10℃)で醗酵が旺盛
吟醸香が高い
酸の生成が少ない
泡なし酵母
吟醸香が高く、含み香がある 後味軽い
AK−2F  

60%程度精白酒用

純米酒、本醸造酒

14℃で醗酵が旺盛
酸の生成が極めて少ない
泡あり酵母
後味軽い、うま口タイプ 香りはおだやか
AK−3F  

60%程度精白酒用

純米酒、本醸造酒

14℃で醗酵が旺盛
酸の生成が極めて少ない
泡あり酵母
後味軽い、たんれいタイプ 香りはおだやか
AK−3  

60%程度精白酒用

主として純米酒

14℃で醗酵が旺盛
酸の生成が極めて少ない
アミノ酸が少ない
泡なし酵母
後味軽い、たんれいタイプ 香りはおだやか
AK−4 秋田流・雅酵母 ソフト清酒用 華やかな果実様の上立香
泡なし酵母
独自の製造方法に基づいて製造すると、 アルコール10%ながら、水っぽくなく、華やかな香りと、上品な味わいを持つ低アルコール清酒になる

 

現在では歴史ある酒造場の蔵付き酵母から風香味のすぐれた酵母菌を撰択同定して、様々な商品設計に活躍している。  全国の優秀な酵母は醸造協会で一同に収集管理されて全国の醸家に頌布しています。一方従来の泡有り酵母と同種で泡無し酵母が1971年から実用化の先兵として一躍脚光をあびています。内容特徴は以下のとおりです。

泡 あ り 酵 母
6号
おだやかな澄んだ香りで淡麗な酒質に最適
7号
華やかな香りで広く吟醸用及び普通醸造用に適す
9号
短期もろみで華やかな香りと吟醸香が高い
10号
低温長期もろみで酸が少なく吟醸香が高い
11号
もろみが長期になっても切れが良く、アミノ酸が少ない
14号
(金沢酵母)酸少なく低温中期型もろみの経過をとり、特定名称清酒に適す
泡 な し 酵 母
601号

1.性質はそれぞれ6号、7号、9号、10号酵母と同じである
2.高泡をつくらないので、20%ほど増産が可能。泡笠、泡消器不要
3.もろみ日数が短縮できる
4.作業が楽である
701号
901号
1001号
 
1401号
特性は、14号(金沢酵母)そのままの泡なし優良酵母です 今秋から発売です
1501号
(秋田流・花酵母AK-1)低温長期型もろみ経過をとり、 酸が少なく、吟醸香の高い特定名称清酒に適す

 

日本酒の効用

日本酒には様々な健康を促進する為の効用があると言われています。飲料としてのみならず、酒風呂、美容液など美肌効果もあるとされています。

麹 酸     シミ・ソバカス・くすみの原因となるメラニン色素を抑制し、お肌を白くする美白効果があります。

アミノ酸    角質の水分調節をするとともに、保湿効果でお肌をしっとりさせる作用があります。

アルコール  洗浄作用で余分な脂分や汚れを取り除き、お肌を清潔にします。毛穴を引き締め、お肌の新陳代謝をよくする作用があります。

 

吟醸酒が登場したのはいつ頃?

吟醸酒が登場したのは、大正の末期である。それから短期間に全国の酒蔵でこぞって造られるようになったが、その背景には2つの大きな要因があった。 1つは、原料米を搗く精米機の改良である。水力精米から、大正の末頃には電力による横型精米機が登場したが、この横型は水力と比べ効率を格段高めたが、米と米を擦り合わせる方式だった為、80%以上に精白するのは至難の業であった。しかし、昭和に入って、研削砥石が回転しながら米の表層部分から順次削り取っていく仕組みの、竪型精米機が登場し、精米歩合を高めることができた。 もう1つの要因は、明治40年から始まった全国清酒品評会である。全国の酒蔵が入賞する為にこぞって、原料米を選び 高精白や技術を駆使して競い合った。この品評会用の酒造りから吟醸酒が生まれた。

 

酒米はなぜ「炊く」のではなく「蒸す」のか?

普通の飯米は炊いて食べるが、酒米は蒸して使う。その理由は、炊いた米と蒸した米の水分含有量の違いにある。炊いた米の水分は65%であるのに対して、蒸した米では37%であった。麹菌の繁殖に最も適した水分活性領域は35〜40%であることから、蒸す手法が現代まで続けられている。  蒸しの一番の目的は、適度に汲水させた白米を蒸気で加熱するこにより白米澱粉を麹の生産する糖化酵素が、分解しやすいかたちに変えることである。と同時にタンパク質も熱変化を起こし脂質は揮散するが、こちらも麹カビの繁殖を助けて酵素による消化性を増すことになる。  よい蒸し米とは「外硬内軟」と呼ばれ表面に粘りが無く、内部までよく蒸されていて弾力のある状態をいう。

 

日本酒に防腐剤は使われていない

日本酒は、残念ながら非常に腐りやすい酒である。日本酒の最大の適である「火落ち菌」はアルコール濃度を高めても撃退できなかった。その為「火入れ」加熱をを行うことで、殺菌している。明治中期頃までは「サルチル酸」を防腐剤として使用していた時期もあったが完全な火入れ殺菌機や除菌装置の開発により添加の必要性がなくなり、昭和44年以降は業界の自主規制により使用が自粛され、50年には食品添加物の指定が取り消され、現在は全く使用されていない。

 

吟醸酒はなぜ果実香がするのか?

米から造る酒がフルーティーな香りを生成する秘密は、独特の吟醸造りにある。 吟醸造りとは、精米歩合60%以下の高精白米を使用し、低温でゆっくり醗酵させ、かす歩合を高くした製法だが、これら製法上の条件は、酵母の働きを出来るだけ抑えるためのもので、10度C以下という徹底した低温は醗酵理論上からみて、限界に近い温度だという。こうした、いわば寒冷地に飢餓状態でおかれた酵母は、細胞膜内にある芳香エステル生成系と呼ばれる酵素を使って自らエネルギーを作り始める。これらエステル類はリンゴ、メロン、バナナ、パイナップルなど芳香果実の香り成分と一致する。

 

精米歩合の意味するもの

 玄米の胚芽や、表層部に多く含まれるたんぱく質、脂肪、ミネラル、ビタミンなどの栄養素は麹菌や酵母の生育バランスを崩す原因になると同時に、酒の香味や色調を劣化させる原因となる。 そのため、あらかじめこれらの有害成分を含む表層部を削り取っておく必要がある。精米歩合は、低くすればする程酒質が向上する。酒税法では清酒の精米歩合は75%以下とされ、純米酒、本醸造では70%以下、吟醸酒、特別純米、特別本醸造で60%以下、大吟醸で50%以下となっている。(平成16年より 酒税法で精米歩合の規定が撤廃されました)ちなみに、食べる飯米は、92%位の精米歩合である。

秋田酒こまち

秋田酒こまちは、酒造好適米の最高峰・山田錦に対抗できる新しい酒米を作ろうと県農業試験場、県総合食品研究所醸造試験場、県酒造組合の三者が協力して一九八八年から開発が始まった。九二年に県農業試験場が交配に成功し、改良を重ねて九八年から醸造試験場で小規模な試験醸造が行われていた。 目指したのは「山田錦」に匹敵する酒米。「大粒心白」の酒造好適米で、成分的には酒の雑味となるたんぱく質が少ないという条件を兼ね備え、かつ秋田の気候に合った育てやすく一定の収穫量を確保できる品種です。農業試験場が育成した約500系統の原料米を分析し、試験醸造、現場醸造とさらに絞り込んでいった結果、品種登録にまでいたったのは「吟の精」「秋の精」「美郷錦」のわずか3品種という気の遠くなるような作業の末、ついに15年の歳月を経て、 「秋田酒こまち」という「山田錦」に並ぶ品質をもち、かつ秋田で生産できる酒米が誕生したのです。  昨年の試験醸造には県内の酒蔵三か所も参加。県の清酒鑑評会で最終審査まで進むなどまずまずの成績を収めたことなどから、2002年は試験醸造を県内二十か所の酒蔵に拡大。本格的な商品化を目指すとともに、新しい酒米として県内酒蔵へのPRなどを図ることを目的に醸造試験場が「今年春の全国清酒鑑評会に出品してほしい」と呼びかけていた。 そのうち7点を2002年5月に行われた「全国新酒鑑評会」に出品したところ、1年目の醸造にも関わらず5点が入賞し、そのうち2点が金賞を受賞しました。通常、何年もの経験を積み重ねて栽培技術や醸造技術が磨かれていき評価が定まっていくなかで、これは将来の可能性を感じさせる出来事でした。また、例年「山田錦」を使用した日本酒が金賞のほとんどを占め、今年も金賞酒289点のうち「山田錦」以外の酒米を使用したものはたった9点にすぎませんでした。そのわずか9点のうち、「秋田酒こまち」醸造酒が2点も受賞したことに関係者一同手応えを感じ、2004年に予定していた商品化の予定を1年繰り上げる一因となりました。
「秋田酒こまち」で醸造した日本酒の味の特長としては、「上品な旨さと軽快な後味」があげられます。 たんぱく質が少ないことに加えて、でんぷん質が消化しやすい性質を持つため、雑味が少なく「上品な旨さ」になりやすいと同時に、飲んだときに口の中でふんわりと広がる感じが軽快な後味を創出します。  

 

「秋田純米酵母」誕生

最近、清酒に多様化や個性化が求められるようになり、各県で酒米や酵母の開発が盛んに行われ、それぞれの特徴を生かして商品化が進められてきています。 秋田県でも酒米「秋田酒こまち」が開発され、大吟醸酒が商品化されています。 今回、さらにこの米の特性を生かし「香味のバランスが良く」「きめ細かく・なめらかな味」を特徴とする純米酒を製造するための酵母を開発しました。

開発方法  香味のバランスや発酵力の良い実用的な酵母を育種するには、労力と時間はかかりますが、交雑法による育種方法が有効なので、この方法により開発されました。 低温発酵性に優れた吟醸酵母を親株とし、親株から315株の交雑株を育種しました。純米酒用発酵試験で50株を分離し、一般成分や香気成分が目標にあう8株を取得しました。最終的に純米酒小仕込み試験や清酒工場での純米酒醸造試験を経て、最も優秀な1株を選抜し、「秋田純米酵母」と命名した。 「秋田純米酵母」は、平成16酒造年度以降、各製造場に配布され、純米酒製造に使用されています。

特徴 純米酒らしい「穏やかな香り」と原料米である「秋田酒こまち」の特性を引き出した「きめ細かく・なめらかな味」が特徴です。

 

16BY?

各商品名の最後に出てくる、『16BY』とか『15BY』という言葉は、酒造年度のことです。 酒造年度とは、7月1日から始まり翌年の6月30日までを言います。ですから『16BY』とは、 平成16年の7月から、平成17年の6月までの間に醸造されるお酒のこと。 ラベルに印字されている日付や蔵出し日とは異なります。

 

華こまち酵母

平成15年吟醸酒用「こまち酵母」誕生から4年の歳月を経て、 新たな吟醸酒用酵母「華こまち酵母」が誕生しました。 その特長は「軽快な香りとふくらみある香りを合わせ持ち上品でキレのある味」を 醸し出す酵母です。

 

水の秘密

世界のお酒の中でも日本酒ほど水を厳しく選ぶ酒はないと言われています。水の中にはいろいろな無機質成分が含まれていますが、その成分によっては酒造りや酒の品質保持の面で悪い影響をおよぼす場合があるため、おいしい日本酒を造るには良質な水が欠かせません。 酒造りでは洗米、仕込み、瓶詰め用と原料米の重量に対して20〜30倍の水が必要とされますが、中でも仕込みに使う水、そして割水といって最後に加える水の質が重要とされています。味、におい、濁りがないことは絶対条件ですが、こうじ菌や酵母菌の発育に必要なミネラル分が適度に含まれており、酒質劣化の原因となる鉄分やマンガン、有機物が少ないことなども大切な要件となります。 灘の「硬水」に対して秋田の水は全般に「軟水」であることから、その特性により、まろやかで決め細やかな酒を造りだしているのです(秋田県酒造協同組合)

 

陸羽132号

陸羽132号は、大正10年に、秋田県大仙市にあった国立農事試験場陸羽支場で育成された日本初の人工交配による優良水稲です。明治・大正時代に何度も冷害に悩まされたり、いもち病が大発生するなど、飢饉が度重なっておりました。そこでコメの品種改良をして、いもち病にも冷害にも強く、味の良い米を作りたいと陸羽支場が考え、冷害に強い「亀の尾」と、いもち病に強い「愛国」の交配を始め、7年越しの努力が実り育成に成功しました。 度重なる冷害を詩にした宮沢賢治の「稲作挿話」の一節に「君が自分でかんがえた あの田もすっかり見て来たよ 陸羽一三二のはうね あれはずゐぶん上手に行った 肥えも少しもむらがないし いかにも強く育ってゐる」とあります。この品種は東北地方の農民たちになくてはならない品種となり、作付面積は戦中戦後通し広がりました。  この「陸羽132号」に交配を重ね誕生したのが、「コシヒカリ」であり「あきたこまち」「はえぬき」「ひとめぼれ」、など人気銘柄はすべてコシヒカリの直系であり、陸羽132号の血筋は今も脈々と受け継がれています。

 

秋田酵母No.12・No.15

秋田県醸造試験場と秋田県酒造組合が、主に純米酒向けとして共同開発した2種類の新酵母 「秋田酵母No.12」と「秋田酵母No.15」 No.12は軽快でさわやかな上立香とまろやかで上品かつ後味きれいなタイプ。「酢酸イソアミル系」バナナに似た香りで、食中酒に向いているという。


一方、No.15は、香り華やかで膨らみ豊な芳醇タイプ。「カプロン酸エチル系」メロンや洋ナシのような華やかでフルーティーな香りが特徴。

 

協会酵母1801号

日本醸造協会が開発・認定し 全国の酒蔵へ頒布する酵母(協会酵母)の内、高エステル生成酵母として開発された酵母。まろやかな味わいと華やかな香りが特徴 で、純米酒、吟醸酒用として使用されています。 エステルとは、香り成分で、日本酒やワインなどでは、リンゴ、バナナ、蜂蜜といった表現がされています。

 

明利酵母(M310)

全国新酒鑑評会において、より香りの高い酵母が進化開発されています。 吟醸酒造りに向く酵母と言えば、熊本酵母(協会9号)や金沢酵母(協会14号)が代表的でしたが、現在の全国新酒鑑評会では、明利酵母(M-310)や協会1801号酵母などで、香気成分(カプロン酸エチル)高生産が特徴となります。

 

醸造好適米 美郷錦

「美郷錦」は1987年に秋田県農業試験場において、「山田錦」を母、「美山錦」を父として人工交配し、選抜・固定を進めてきた品種。高品質な酒米として知られる「山田錦」は各酒蔵の高級酒の原料米として需要が多いが、極晩生で収量性が低く、しかも脱粒性があるなど秋田県での栽培は難しい。そのため、秋田県の気象に適応し「山田錦」に匹敵する高品質な酒米品種が望まれている。「山田錦」を直接の交配親とし、「山田錦」を早生化した高品質、低蛋白質の品種を育成することにより、酒蔵とそこに連携する酒米生産農家を中心とした地域の振興に期することができる。 また、現場醸造試験では吟醸酒用の原料米として高い評価を得ている

 

 醸す(かもす)ということ

「山田錦を全量使用し 贅沢に醸された大吟醸を」などと 使われる「醸す」は 醸造、酒をつくることを意味する。なぜ「かもす」というようになったかは諸説あり、そのひとつは 「噛みす」からきたという説、古語によると 醸造することを「かむ」といい 麹を知らない時代 原始的な方法として口中で飯を噛んで吐き出す。ご飯をよく噛むことで唾液中のジアスターゼが麹と同じ働きをし、澱粉が糖化し、大気中の酵母菌が発酵しアルコールとなる。今でもこの風習が世界のあちこちに残されていて、祭りの神酒など特別な場合に使っているようです。 噛む役は大体が、少女や未婚女性などで、今日の醸造、蔵仕事は男性中心であることと比べおもしろい。

 麹菌 吟味

秋田県立大学と秋田今野商店とで共同開発された新種麹。従来の種麹より清酒中のアルギニン(苦味を呈する成分)の生産量が約1/10に低減可能な種麹。苦味の低減により喉越しや後味の向上が期待できる

 

醸造好適米 ぎんさん

水稲品種「ぎんさん(出願公表H26年2月5日)」は、加工用途として秋田農業試験場が育成した多収品種。
普通酒用原料米にはうるち米品種が使用されますが、粘りが強く粒大のバラツ キや玄米タンパク質含有率等の内部品質が不安定のため、酒造適性の高い多収品種が求 められていた。
酒の雑味の原因になるタンパク質の含有率が低く、食味も良く、業務用の食用米としてもいけるとして、乳酸可溶性タンパク質が低く、精米歩合70%とあまり削らなくても純米酒用に適することが明らかとなり、ぎんさんを使用した純米酒は、味が良く後味がきれいで生産コストを抑えられるため、高品質な商品を手軽な価格帯で販売できる。

 

貴醸酒

昭和48年、当時の国税庁醸造試験所の研究室長の佐藤信博士は、テレビ放映されていた国賓の晩餐会でフランス産のワインやシャンパンで乾杯しているシーンを観て、「ワインより安価と思われている日本酒だが、こういったシーンで飲まれるような高級なものを開発する必要がある」と考えた。イメージとしては、ドイツのベーレンアウスレーゼのような甘美で上品な酒。”三段仕込み”という製造方法で清酒は造られるが、その最終段階である”留仕込み”で仕込み水の代わりに酒を使い、濃醇な甘みと豊かな酸味を持ったゴージャスな風味のお酒を造りあげ「貴醸酒」と名付けた。(この製法は国税庁醸造試験場が特許を、名前は広島県の酒蔵が登録商標を持っている。)しかし、この「酒で酒を造る」製法については、すでに平安時代の古門書である延喜式(えんぎしき)に記述がある。当時の最高級酒であろう「御酒(ごしゅ)」の仕込み方などに、これが古くから行われていることが現代に伝えられている。

 

一穂積

  一穂積は、新潟の「越淡麗」と秋田の「酒こまち」の掛け合わせから生まれ、華やかな香りとフレッシュな味わいが楽しめ、淡麗で雑味が少なく軽快で後味にふくらみのある酒 になるという醸造特性。

百 田

百田は、秋田の美郷錦と同じ秋田の秋系酒米との掛け合わせ。爽やかな口当たりに程良い吟醸香が広がり、後味の酸が引き締める。奥行きがあり、後味にふくらみのある「山田錦」に匹敵する酒ができる という醸造特性。